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薬指の標本

 中編2篇。どちらも内側に閉じていくような感じ。

「薬指の標本」は、サイダー工場で働いていたときに機械に捲きこまれて薬指の一部を失くした女性が、標本室で働き始める話。一応ラブストーリー、なのかな。標本技師の男の人はなんか気持ち悪くて苦手だ。
物語の序盤、主人公の女性が薬指を失くすところが白眉だと思う。血がタンクの中に流れ込み、サイダーを桃色に染めながら、泡と一緒にぷつぷつ弾けている。
ただ一つわたしを悩ませたのは、薬指の先の肉片はどこへ消えてしまったのだろうという疑問だった。わたしの残像の中でその肉片は、桜貝に似た形をしていて、よく熟した果実のように柔らかい。そして冷たいサイダーの中をスローモーションで落ちていき、泡と一緒にいつまでも底で揺らめいている。
桃色のサイダーの中でゆらめく桜貝みたいな肉片が頭から消えずに、こっちまでサイダーが飲めなくなりそう。
これ、オルガ・キュリレンコ主演で映画化されてるのね。言われてみれば、フランス映画のほうがしっくりくるような感じ(ただのイメージ)。


「六角形の小部屋」は、町の片隅で営業している「語り小部屋」のこと。箪笥のような六角形の箱の中で、一人きりで思い思いのことをただ語る。言葉はただ吸い込まれていく。語り小部屋に行くのに林の中を歩き回って道に迷って辿り着くところ、そして最後のオチなんかは昔話や童話のような感じ。
誰もがみな語りたい欲望を持っているけれどそれは大抵の場合他者に聞いてほしい欲望と同義であって、自分のためだけに語るという行為は少ない。語り小部屋が実在したら確かに繁盛しそう。

小川洋子さんは小説のテーマみたいなものをかなり明確に設定した上で、それが読み手にはっきり伝わるような構造を取っている印象を受けた。人間が物語に動かされているような感じで、登場人物はみな生きてる感じがしない。そのせいでますます小説の中が死の世界みたいだ。


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